6月中旬のこの時期、2年ぶりに道東を周りました。今回は台風並に発達した低気圧の影響で天候に恵まれず少々苦労しましたが、この時期ならではの道東を満喫してきました。初日、薄曇りの女満別空港に到着後、ワッカ原生花園~野付半島、2日目から4日目までは根室に滞在しましたが2日目は悪天候で行動できず、3日目は強風のため落石クルーズが欠航してしまたため春國岱や納沙布岬、落石林道などを回りました。最終日はやや強い風の中クルーズ船に乗り、帰りがけ霧多布により釧路空港から最終便で東京に戻りました。 天候は初日が曇り、2日目は防風雨、3日目と最終日は晴れ。気温は前の週の高温から一転、朝方は10度を下回り日中も20度を超えることはありませんでした。鳥の方はというと夏鳥がほぼ出揃いようやく繁殖を始めたか?といったところでした。 最初に訪れたワッカ原生花園ではノゴマ、ノビタキ、ベニマシコが多数。日中ではありましたがマキノセンニュウやシマセンニュウを観察することができました。特にノゴマはいたるところに居るといった印象でした。上空にはアマツバメやチゴハヤブサの姿も見られました。前回訪れたときは工事中で入口部分しか入れなかったのですが、今回は奥まで入ることができたので公園入口から先端までの約4キロを歩いてみました。今回の撮影はすべて手持ちのレンズによるものですが双眼鏡片手に歩きながらの観察は車だと見逃してしまうような鳥たちも視界に入ってきます。 写真の野付半島ではやや鳥の姿が少ない印象でした。到着した時間が遅かったことが原因かもしれませんが野付周辺はワッカ原生花園のある網走周辺に比べて明らかに気温が低く、草原の鳥たちもまだ到着していなかったのかもしれません。気候の関係から野付~根室にかけての地区は北海道の他の地域に比べて気温が低く、その分渡り鳥の到着も最後になるのではないかと思われます。それでも野付半島では海岸沿いではオジロワシの姿が目立ち、湿原にはタンチョウの姿もありました。ネイチャーセンター先の草原ではオオジシギ、ノビタキ、カッコウが飛び回り、内海ではオナガガモ、ヒドリガモが見られました。 根室周辺でも夏鳥がほぼ揃っており、ノゴマ、ノビタキ、コヨシキリ、エゾセンニュウ、ベニマシコといった草原の鳥を中心に観察することができました。今回初めて訪れた明治公園は根室市内にある公園でしたが公園の外側に広がる草原・湿地帯にはたくさんの野鳥が生息しています。なかでもベニマシコの数が多いのは特筆すべき事項だと思います。ベニマシコの写真を撮りたいならここ明治公園がオススメです。 根室の代表的な探鳥地である春國岱は強風の中での観察となりました。昔は春国岱を一周できる木道がありましたが倒木などの関係から今では入口付近しか立ち入ることができません。そのせいかやや鳥の姿が少なく感じられ、クマゲラが住み草原の鳥のさえずりに溢れていた春國岱は今は昔といった感があり少々淋しい印象でした。それでもオオアカゲラが忙しく飛び回ったりウソのさえずりも聞こえてきたりと歩いてみる価値は十分あります。 今回一番鳥の声が多く聞かれたのは根室半島に広がる森林地帯でした。広葉樹あり、針葉樹あり、草原あり、湿地ありと変化に富んでおり、ウソ、ルリビタキ、コマドリ、コルリ、メボソムシクイといった亜高山帯の野鳥からセンダイムシクイ、エゾムシクイ、キビタキ、アオバト、オオルリ、アカハラとといった山林の野鳥、さらにはエゾセンニュウ、マキノセンニュウ、コヨシキリ、ベニマシコなどの草原性の野鳥まで狭い範囲に多様な野鳥が生息しています。海岸からこれほど近い場所で亜高山帯の鳥がこれだけ多く見られる場所は根室の他多くはないのではないでしょうか。。木々が生い茂る中での観察になるので写真メインの方には正直オススメ出来ませんが早朝であれば10種類以上のさえずりを同時に聞くことが出来るほど野鳥の声で溢れます。林道ではほかにエゾライチョウが見られたり森林地帯の中に流れる川ではカワアイサがヒナを連れていたりと一日では見きれないほどです。 上記のように素晴らしい林道ではありますが入るにあたっての注意点があります。まず、ここはヒグマの生息地であること。落石周辺の林道ではしばしばヒグマが目撃されています。林道に入る際は車から降りずに撮影するなど十分に注意していただきたいと思います。林道は基本砂利道で普通乗用車でも入れますがところどころにぬかるみがありますので無理は禁物です。地図に出てこない枝道がたくさんありますが、ガイド同行でなければ避けたほうがいいと思います。道幅は狭くすれ違いはできないので等間隔にある待避所で駐車やUターンをすることになります。さらに倒木により何カ所か通行止めになっていたりする場所があるので事前に情報を収集してから林道に入ることをお勧めします。 恒例の落石クルーズではやや時期が早かったもののエトピリカの姿が見られました。期待していたミズナギドリの群れには会うことはできませんでしたが、繁殖のために集結したケイマフリを多数見ることができ、求愛行動も観察することができたのは収穫でしたし、ケイマフリの可愛いらしい声を聞くこともできました。上の写真に写っている黒いものはすべて繁殖のために集まったケイマフリです。 今回も歩き回ることを前提に大型の機材は持たず出かけました。大口径レンズの写真の美しさではやはり一歩劣りますが身軽に動けるため色々な場所を歩くことが出来るため多くの種類を見聞することができ、今回は80種を超える野鳥を観察することができました。 この時期の道東は何度も訪れている場所ですが、毎回何らかしらの新しい発見があります。草原の鳥や海鳥を観察するのであればこれから8月の中旬ぐらいまでが最も多くの鳥たちを見ることができると思います。 (観察種) アビ、オオハム、シロエリオオハム、アカエリカイツブリ、ハシボソミズナギドリ、ハイイロミズナギドリ、ウミウ、ヒメウ、チシマウガラス、ダイサギ、アオサギ、マガモ、カルガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、スズガモ、シノリガモ、カワアイサ、オジロワシ、トビ、ノスリ、チゴハヤブサ、エゾライチョウ、ヒクイナ、コチドリ、オオジシギ、オオセグロカモメ、シロカモメ、ウミネコ、クロハラアジサシ、アジサシ、ウトウ、エトピリカ、キジバト、アオバト、カッコウ、ツツドリ、アマツバメ、アカゲラ、オオアカゲラ、コゲラ、ヒバリ、ショウドウツバメ、ツバメ、ハクセキレイ、ビンズイ、モズ、ミソサザイ、コマドリ、ノゴマ、コルリ、ルリビタキ、ノビタキ、アカハラ、ウグイス、エゾセンニュウ、シマセンニュウ、マキノセンニュウ、コヨシキリ、メボソムシクイ、センダイムシクイ、エゾムシクイ、キビタキ、オオルリ、ヒガラ、シジュウカラ、ホオアカ、アオジ、オオジュリン、カワラヒワ、ベニマシコ、ウソ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス(以上81種)
by hideaki0310
| 2014-06-17 07:00
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